ご家族や、配偶者などが境界性人格障害とクリニックで診断されたり、または自分で自己診断でBPDと理解されている方もいらっしゃると思います。
配偶者がそういう状況という方を身近に知っています。
境界性人格障害(BPD)と呼ばれる精神的な症状は、女性(比較的若い女性)に多いと言われています。
私が、そんな状態の女性と接したときに感じたのは、
そのBPDの人自身は、とても自分自身で苦しんでいるという事です。
BPDの人は、感情の起伏が激しいというか、いいときはめちゃくちゃ優しかったりしますが、何かのきっかけで怒りが爆発し、
その怒りは、その人の中でどんどん勝手に増幅してゆきます。
怒りの発端となったきっかけは、ほとんどが本当にささいなことである場合が多いです。
あと、BPDの人が怒っているときの発言を聞いていて思うのは、自分にとって「うれしい」か、「嫌」かしかなく、
相手の気持ちや状況などお構いなしになっています。
相手に対しては、指摘したり非難をすごくするんですが、BPDの人は自分が本当にミスをしてしまったとしても人から言われると何十倍にも言い返してきます。
その言い返す言動は会話として成り立っていないです。
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例えば、こんなことがありました。
そのBPDの女性は、よく人に注意していました。
「電気のつけっぱなしだったよ、電気代がいくらかかると思ってるの?考えなしに行動しないで。。。。」などなどいろいろ言って来ます。
そんな彼女が、時々電気をつけっぱなしにしたり、いろいろミスをすることがあるんです。
まあ、人間だもの(相田みつお風)ミスくらい誰でもあるし、よほどのことでも買い限りそれほど本気で怒りまくって起こるなんてことはしないですよね。
でも、彼女はよくちょっとした他人のミスをきっかけに自分自分の中で怒りを増幅させて、時に半狂乱状態までなることがあります。
そんな風に、いつも他人に言う人のくせに、自分も同じようなことをしていれば、ちょっとは注意とか言いたくなります。
それで、彼女が電気つけっぱなしとかの時に、軽く(嫌味な言い方でなく)
「電気つけっぱなしだったから切っておいたよ。」というのですが、
それも彼女は気に入らないらしく、
むしろ、それが怒りのスイッチを押してしまうようで、始めブツブツ文句を言っているかと思うと、
小さな種火がどんどん大きくなるように、自分の中でどこから来るかわからないほどの猛烈な怒りになって大きなことになったります。
「あなたが私に言っていることがわかっているの!!私はいやな気持ちになるのよ!!いい加減にしてよ!!イライラする!!」
というように、自分の失敗やミスを人から注意されると、「自分がいやな気持ちにさせるあなたが悪い」
「私をいやな気持ちにさせるあなたはとんでもなくひどい人間だ!!」と、
自分勝手というか、聞いていて何がなんだかわからなくなってきます。
自分が悪くても、人からそれを言われたら、もう我慢できない!!怒りがマグマのように噴出してとまらなくなる。
とにかく、人には注意したい!言いたい!あなたが悪いから私が辛い!とにかく自分以外の何かのせい。
そんな状況を見ていると、ありのままの自分をそのまま愛せないのだと感じます。
自分のミスや悪いことを人から言われ、自分のそういう弱いところを自分で認めると自分が壊れそうになるので、無意識に必死でそれに抵抗して、認めないようにする、その行動が怒りになってぶちまけているのだと感じます。
また、そういう事を私が理解して話そうとしても、自分の弱さを認めたくないので、聞いてもらえることもなかなかできません。
そんな彼女ですが、
翌朝、一晩過ぎると昨日の事が嘘のように、明るくしていたり、
時には、昨日はごめんなさい。と謝ってきます。
とにかく、怒って爆発しているときは、めちゃくちゃで理性も飛んでしまう位激しいですが、
何か、落ち着いているときに話をすると、
「自分自分なんかいなくなればいいんでしょ?!」
という風に自分自身に対してありのままの自分を認められない、または愛せないという事があります。
人は、誰でもいい面も醜い面もあるのが普通です。
いい面だけの人間なんて一人もいません。
他人に大きな迷惑をかけるのはもちろんいけませんが
日々の生活の中でありのままの自分を自分が認めることができないと相当ストレスがたまると思います。
BPDの人は、自分自身をありのままに受け止められない状態なんじゃないかと思います。
だから、人のミスに言いたくなるのかな?
また、そういう自分自身がミスしたり出来ないことがあると許せなくなり、
他人も自分のやってほしいように思うようにならないと、他人へのストレスと自分への怒りが合わさってゆきます。
また、幼少期から現在に至るまでの抑圧された感情が一時的に蓋になり、まるで圧力鍋の中で猛烈な圧力がかかり、蓋が押さえきれなくなって一気にフタを吹き飛ばすように、怒りのマグマがとめどなく大爆発します。
彼女の怒りはすさまじく、他人も自分も何もかも破壊してしまいそうなくらいの怒りになる場合もあります。
(実際には、そういう状態でも理性は働いているので、そこまで大きなことにはなりませんが)
とにかく、日々の自分自身の精神衛生上の自己管理をするのがすごくへたくそだと見ていて思います。
気分転換とか、美味しいものを食べに行くとか温泉に行くとか、体を動かすとか、趣味や楽しいことを自分で見つけてやるという事がほとんどありません。
常に、何かに追われているような感じで、あれをして次にあれをしてと、
何か、しなければならない、でもあれもこれも出来ていない!!
あーーーどうしよう!
あーーーーーーーーーやらないといけないのに、出来ていない!!
あーーーいらいらする!!!
という感じです。
そんな状況で、彼女の症状はBPDの人と関わったことが無い人には想像が出来ないと思いますが、
時に人間とは思えないくらい、何かに取り付かれているような状態にもなります。
そこで、精神科のクリニックに一緒に行くようにもしたのですが、
時に、自尊心が本当は低く自分自身苦しんでいると思われる彼女ですが、一見プライドが高い態度をとったり発言をします。
「私は薬を飲む必要なんか無い!」
「お前のせいで病気扱いされたり、薬を飲まされたりするんじゃ!!」
といって、自分でも落ち着いているときは、病院にいって直したいというのですが、
いきなり正反対の事を言ってきたりします。
しかも、薬といっても漢方薬しか飲んだことはありません。
また、心療内科や精神科のクリニックにいっても、BPDの場合、敬遠されることも多く、
冷たい対応をされることもよくあります。
そんな感じで、
先の見えない状態が続くのですが、
いつもいつも怒りまくっているわけでも無く、日々の生活の中で大変な状態になるときの割合は2割くらいで、
それ以外のときは、逆にすごくいい人だったりするので、何とか家族や夫婦関係をよくしてあげたいという気持ちになります。
そうこうして、既に5年近くの月日が過ぎました。。
長いようで、あっという間です。
そして、今思い返してみると5年前はじめてあったときと今現在を比較してみると明らかに状況は良くなっていました。
怒りやすかったり、イライラしたりはしますし、時に小爆発を起こしますが、
半狂乱になったり、ものを投げつけたり、自分自身を見失いそうになったりすることはなくなりました。
少しづつですが、自分自身の心と体を怒りの状態でもコントロールすることが出来るようなっていました。
以前、境界性人格障害の本をいろいろ読んだり、専門家にも話を聞いたことがありますが、その中で納得できる内容があり、今まさにそのようになっていると実感する記述がありました。
それは、年齢とともに人格障害のマイナスの影響は改善されてくるケースが多いという事でした。
人間誰しも、生きていく中で社会にもまれたり、いろんな経験を通して、自分の思い通りにならないことも沢山経験し、そんな中で自分自身でなんとか消化する方法を見つけたり、人生を楽しむすべを探したりします。
また、他人から優しくされたり自分よりも大きい存在、恩師や家族やいろんな人のおかげで自分は生かされ暮らしているんだという「感謝」の気持ちが成長し人間的に成長してゆきます。
BPDの人を見ていると、そういう部分でうまく自分なりの解消方法や折り合いのつけ方を見つけることができないまま、大人になっているのではないかと感じることがあります。
なので、必然的に時が経ては経つほど、いろんな経験もしますし、自分の思うように行かないことも増えてきます。
その時に、自分のありのままの大きさを少しづつ知ることができたり、他人や家族、恋人などからの愛や助けに気づき感謝する気持ちが増えてくるのだと思います。
感謝する気持ちが増えたり、自分自身をすこしづつ認めることが出来るようになることで、他人のことも許せるようになるんです。
そう、
BPDの人は、自分自身で自分をありのまま愛せていない状態だといえます。
時間と人生経験によって、ありのままの自分を愛せるようになることで、ありのままの他人も許せるようになり、
そうして、ありのままの他人を許し、また愛せるようになることで、イライラしたり怒る気持ちもなくなってゆくのだと思います。
人生は、肉体を持って沢山の経験をするために来ているのだろうと思います。
そして、それぞれが自分自身で様々な選択をして、他の誰とも全く同じ経験ではない、その人だけの経験から得られる喜びがあると思います。
今現在、境界性人格障害(BPD)の症状を持つ恋人や夫婦、家族などがいらっしゃって本当に大変な状態の方は日本中、世界中にいると思います。
今現在、私は目にしている状況は、BPDの症状は改善しているという事です。
もちろん、0が一気に100になるように改善はしません。
夜の暗闇から少しづつ空が、黒から藍色になり、朝焼けになるかの様に、少しづつですが色がグラデーションで移り変わってゆくように、太陽が昇ってくるように光が見えてきます。
愛する人、家族、恋人がBPDで、つらいことは本当に多くあるでしょう。
自分がつぶれないように別れるケースもあるでしょう。
そんな状況でも、もしBPDの彼女、彼氏、家族、夫婦となんとか今の状況を改善して楽しく幸せに暮らすことを望んでいるのでしたら、
今回の話のように、BPDは時間、人生経験、その他で改善するのだという事をお伝えします。
次の機会にまたお話したいと思います。
BPDで苦しみ、悲しみ、あきらめかけている本人と家族、恋人の助けになるかもしれない一冊です。
近くにBPDを快く受け入れてくれる病院がない、または病院にいくのは抵抗があるけど、何とか今の現状を良くしたいと切に願っているご家族のために光が見えるきっかけとなると思います。